NanoStudio+パッドで曲がどんどん出来る。



NanoStudio - Blip Interactive Ltd
NanoStudio - Blip Interactive Ltd

iPad版のNanoStudio+パッド型コントローラーで曲が量産できるかもしれない。
デトロイトテクノみたいな曲調のもの(情緒のある繰り返しのダンスミュージック)だったら30分くらいで基本的な構成が出来てしまう。

こうやって書くとすごい普通のことみたいだなあ。
結構革命的な体験だったんだが・・。

単体のNanoStudioではなくて、あくまでパッド型のハードウェアで演奏するという感触がないとダメで、ここがちょっと弱点でもある。
パッドは重たい荷物になり、持ち出しにくいから。

MPC1000と比較すると2つの点でNanoStudioが勝る。
ひとつめはシンセ部分の性能。

NanoStudioではJUNO-106のオシレーターをサンプリングしてEdenというシンセ部分で加工して音色を作って鳴らしている。
この部分の自由度がMPCとは比較にならないレベル。

ふたつめはシーケンサー部分の性能。

NanoStudioのシーケンサーは便利なDAWタイプのピアノロールであり、全体を俯瞰で見て操作出来るし、一瞬で細かい部分にクローズアップも出来る。

大胆にシーケンスをガンガンコピーして増やしていったりとかちょっとだけ細かく削ったりとかの自由な操作性はパソコンのDAWに近く、やはりこの便利さを味わうとMPCで同じことをしたいとは思わなくなる。

MPCは4小節のループを作ったりするときには最も手っ取り早いが、そのあとのパートをミュートして構成を作っていくアレンジの編集作業ではNanoStudioにはかなわない。

元々、AbletonからMPC中心にに移行したんだがその際も構成を作る作業はAbletonで行っていた。
また、シンセサイズする能力もAbletonのほうが優れているからAbletonで音色を作ってMPCに取り込んだりしていた。

MPCの利点はループ作成の素早さ以外にもある。

それは音がまとまるという点だ。

AbletonなどのDAWは楽器ごとの聴き分けがし易い。つまり音がクリアーであり分離が良い。
だから音圧の音楽であるロック・ポップス・ダンスミュージックに使うには音が良すぎるとも言える。

そのままではハイファイすぎてダイナミックレンジも広すぎる(裏をかえせば迫力がない)ので音を汚して分離を悪くするテクニックが必要になる。
つまり綺麗で広い空間をわざわざ汚くて狭い空間にしているのがロック・ポップス・ダンスミュージック制作の実態だ。←ちょっと極端すぎかな(^_^;)

まあ、とにかくこれは一手間も二手間も多いし無駄に感じる。

だからMPCAbletonを組み合わせてイイトコどりの仕組みを作った。

それと同じ以上のことが行えるのがNanoStudio+パッドのシステムなのだ。

NanoStudioはAbletonほど分離が良くない。つまりパソコンのDAWに比べて音が悪い。
これは逆の視点からみると音が最初からまとまっているということになる。

パッドが絶対に必要なのは最初の30分間。つまり、曲をゼロから立ち上げる作る段階だけ。
そのあとはメールに添付して(今回の曲は現段階で9.5MB)ソングデータをiPhoneに受け渡してしまって寝っ転がりながら続きを行い、自然と曲のアレンジがが出来ていったりする。NanoStudioには無料でMac版、PC版もあるからiPhoneiPadMac、PCの連携が出来る。しかも低予算で。

実際の感じはモチーフのほとんどはNanostudioで作って、イントロとか効果音のような凝ったパーツMPCAbleton、ビンテージシンセを使って贅沢(笑)な気分で作る感じ。ほんのちょっとした部分だけ本格的な機材でやんないと無理なとこがあってそれ以外はiPad+パッドでいける。

ちょこっと作業日誌的なことも書かせてもらうと、NanoStudioの楽器の構成は前回の”miku Nano”(こちらで聴けます)そのままからスタート。

”miku Nano”の楽器は残して演奏情報(シーケンスデータ)は消した状態でパッドを叩いて探っていった。

「この音色は気持がいいなあ」という快感が起点となって真っ白のところからリフと音色を同時に作っていく。

今回は上モノのシンセ・リフが最初に出来た。そこにベースやら足して、ドラムを足したのはその後になった。

ダンスミュージックの場合ドラムから打ち込むことが多いが、リフから出来ていくというのはエレキギターで作曲しているような感じに近く、自由度も高い。

音色とリズムとフレーズが一体になって立ち上がるので肉体的であり自然な始まり方だ。

音階の演奏も16個のパッドで行う。鍵盤だったら色と形と位置で分かれていて、どうしても黒い鍵盤よりも白い鍵盤を弾いてしまう。心理的に、物理的にどうしても自由度が制限される。

16パッドならキーもスケールもモードも自由だ。それらに影響を与えるような制限がない。
たった16のパッドしか一度に演奏できないからそれが制限になるが、複数のパッドバンクを使って低音から高音まで弾けるのでそれは大きなデメリットではない。

やはり俺にとってはメリットのほうが多い。

全てのパートをパーカッションとして演奏できるというのもメリットだ。

前回の反省を踏まえて、より少ないパートで構成を作った。

前回は主役がたくさんいて組み合わさっていたのでポップスよりの構成になってしまい、フィジカルな強さが薄れて情緒の面が強調されてしまった。

音が多めだったのでバランスをとるのも難しく、実際にキックは大きすぎ右で鳴っているキラキラしたシンセ・リフは小さめだった(これは後日に電器屋さんのiPhone対応コンポで鳴らして気づいた)。

今回は主役を明確にして、その裏側で脇役の凝った音が渋く支えているという構成にしたいと思っている。
主役になるリフやリズムの骨格の部分は今日ほぼ完成した。

Ableton、mini kaoss pad 2、mpc1000、JUNO-106などを使って凝った脇役のサウンドをどうやって作るかが明日からの楽しみだ。前回のイントロ作りのノウハウを使ってみることになると思う。

日曜大工に例えると、大部分は一般的な家庭の道具で作り、凝ったパーツだけは業務用のマシンが必要になるというようなイメージだ。

前回は仕組みづくりが目的だったので音圧のことまで考える余裕がなかった。

だから曲の音のデカさが一昔前の感じになってしまい少し小さめの音量になった。

音圧競争は一段落したとはいえ、新しい曲は未だに音がデカイ。

音圧を出すには作曲段階から意識していないと無理だ。最後の段階で思い出したように無理やり音圧を出そうとすると不快な音になってしまう。

今回はその辺も意識してやっていきたい。

前回思ったNanoStudioの欠点も書いておこう。

NanoStudioのシステムはパソコンのDAWに近い。だから短いパターンという概念中心のMPCと違って大きなソングという概念しか持たない。Abletonはその点では面白くてクリップをトリガーすることでリアルタイム演奏できるモードもあるので柔軟なタイプ。

俺の場合作曲のゴール地点はYouTubeだ。

曲が完成したら少し練習してから何度も撮り直して演奏動画に出来たらそれをYouTubeにアップロードして世の中に公開する。

映像になるので絵的な面白さが重要だ。

iPadMPCのほうが絵的には面白い。パソコン+コントローラーよりも、なぜかワクワクする。

これは旅の映像に例えるなら、同じ距離を移動した旅の記録でも徒歩に近いほうが面白く、逆に飛行機で移動したら盛り上がるのは難しくなるようなものだ。

創意工夫が必要で、学びながら困難を乗り越え、失敗をうまくチャンスに変えてドラマチックに展開していく。
そういう絵的に面白いドラマ感はパソコンのDAWの映像では伝えにくい。

DAWはなんでも可能な万能のツールであり、失敗してもすぐやり直せる。

NanoStudioはiPadのアプリの中ではパソコンのDAW寄りだ。

結構万能であるから、作りこめてしまう。

だからソングが完成して動画を撮る段階になると俺のやることは再生ボタンを押すだけになってしまう可能性がある 笑。

その辺をどう解決するか、それについてはまた書こう。

↓この二つの記事に前回の曲作りの詳しい実際の様子を書いてあるのでよかったらどうぞ


NanoStudio - Blip Interactive Ltd
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