MOTU Track16は買いか?徹底レビュー
MOTU Track16。
最近流行りのデスクトップに置くタイプのオーディオインターフェースにとどめをさすような多機能なタイプ。
要点・まとめ
- 最大24bit/192khzの高品位アナログ入力
- パッと見ではRME BabyFaceやApogee Duet2の仲間のような感じだが、それらよりもより本格的な性能と拡張性を備えている。
- 3機種を比較すると、Track16とBabyFaceは光デジタルを使ったADATインターフェースに対応しているのであとから入出力を増やせる。Track16とBabyFaceは基本的な仕様はよく似ているがTrack16はヘッドフォンが2系統使えるのと、レベルメーターが4系統ある点がより優れている。使い勝手もTrack16が最も良いだろう。
価格帯から見てもBabyFaceとTrack16はライバル機種でありMOTUは高機能にもかかわらず戦略的に安くしているのが伺える。
- ちなみに3機種ともiPadのオーディオインターフェースとして使うことは出来ない。
- Track16の欠点はUSBバスパワーで使えないところと本体の大きさだ。これについては下で詳しく書いた。
- MOTU Track16はどういう人に向くか?
FireWireのついたMacもしくはWinを持っていて、机の上に少し広めの設置スペースがあり、バンド録音まで行いたい人に向く。電源やバランス入出力、レベルメーターの視認性といった基本性能や使い勝手にもこだわって設計されているので、あくまでこういったデスクトップに置くタイプにこだわるけど性能にも妥協したくない人向けとも言える。
- 本体だけで出来ること→ ヘッドフォンが同時に2つ使えて独立した音量調節が出来る(片方はミニジャック )、ギター専用の入力端子が1つ使える、iPadやiPhoneの楽器を録るのに最適なミニジャックのステレオ入力が1つ使える。
- ブレークアウトケーブルをつないだ状態でだとこうなる↓
【入力端子】
マイク専用×2、 ギター専用×2
ステレオライン入力×1
ステレオライン入力×1(ミニジャック)、光デジタル×1
【出力端子】
ステレオのラインアウト×2ペア(独立した音量調節)
光デジタル×1
【その他】MIDIイン×1 MIDIアウト×1
- ラインの入出力は全てバランス対応なのでノイズに強い。
- DSPについて
DSP搭載なのでデジタルミキサーとしても使える。全入出力にアナログモデリングEQ、クラシックコンプ、クラシックリバーヴを装備。コンプはかけ録りも可能。
- レベルメーターについて
縦に7個のLEDが4組用意されている。
【LED1】→マイク2本(or ミニジャックステレオ)
【LED2】→ギター2本(or ヘッドフォン2系統)
【LED3】→ラインイン(or ラインアウト2系統)
【LED4】→メインアウト専用
このように切り替えてステレオ×4系統が同時に監視できる。
これはレベルを手っ取り早く確認できるからいかにも使いやすそう。
- ボタンの色の意味について
基本の発光色はオレンジ。ボタンを押すとグリーンに光って選択中であることを示す。
[METERS]と電源ボタンはブルーに光る。
これらの配色は工場出荷時のもの。ユーザーが好みで6種類のパターンを選べる。
- USBバスパワーでは動作しない。バスパワーで動作させたい場合はFireWireで接続する。
- USB接続の場合にはACアダプターから電源をとる。面白いことに、このACアダプターは本体に直接挿さない。
ブレークアウトケーブルの中にACアダプターを挿す電源端子があり、ここから電源を供給する。
耐久性と電源ノイズの影響を考えて音質重視にした結果こういうかたちにしたということだ。これは珍しい形式だ。
目立たない特徴だが、MOTUのこだわりが垣間見える。
- 注意点→ 本体のみのシンプルな形で使うときはFireWire一択になる。
- 最近ではFireWireの端子が標準で付いているのはMacだけであり、MacでもMacBook airにはUSBしかない。
この点から考えても実質的にはMacの本格的なユーザー向けの製品となっている。
もちろんWinにも対応しているから使うことは可能だ。
(WIN/MAC共に64bit対応、CoreAudio、ASIO、WDMで使える)
USB2.0を使ってWinやMacBook airで使うときは常にブレイクアウトケーブルを繋いで使うことになる。
ちなみに名前に付いている「16」という数字は入力の数。
アナログとデジタルで合わせて16という意味だ。
↓ アナログ入力の内訳
マイク専用XLR入力×2
ギター専用シールド入力×2
フォーンによるライン入力×2(シンセやミキサーからの入力用でバランス対応)
ミニのフォーンによるライン入力×2(iPhoneやiPadからの入力用)
実際の使い方を考えてみよう。
例えば、アコースティックギター、ボーカル、エレキギター、エレキベース、シンセサイザー(ステレオ)、iPadのドラムマシン(ステレオ)、という編成だったら同時に別々のトラックに録音出来る。
もし生ドラムがいた場合は同時には録音出来ないことになる。
まあ、このくらいのスペックだ。
もし、生ドラムをどうしても同時に録りたいとなったとする。
生ドラムの録音には初心者は2本マイクを使う。本格的にやりたい場合は4本使う。
(こちらが参考になる)
生ドラムの録音にはマイクプリアンプの付いた入力があと2〜4必要になるわけだ。
実はMOTU Track16はアナログの入力数を増やせる。
デジタルの入力端子を使えばいい。
MOTU Track16のデジタルの入力端子は角型の光が付いていてADATインターフェースを増設することで最大8となる。
↓ ADATインターフェースというのは最近ポピュラーなものでいうとこれがある
BEHRINGER ( ベリンガー ) / ADA8000 Ultragain Pro-8 Digital
このADATインターフェースとMOTU Track16を角型の光(オプチカル)ケーブル2本で接続すると、なんとアナログの入出力端子がそれぞれ8増設出来る。
8つの入力端子には全てにマイクプリアンプが付いているのであと8本マイクを増やせることになる。
もちろん8つの入力端子はライン入力としても使えるからマイクとラインを好きなふうに組み合せればよい。
- コメント欄でのやり取りより
きんかん 2012/12/12 02:02
MOTU Track 16の購入を考えておりこの記事にたどり着きました。
レビューとても参考になりました。
当方LogicPro9をかじる程度使っておりますが、記事の中にドラムレコーディングについて書かれている部分がありますが、ADATインターフェースでの拡張をしてドラムレコーディングを行った場合、キックやスネアなどの一つ一つの音をトラックに分けて録る事が可能になるということでしょうか?
お忙しいとは思いますが、お手すきの時で構いませんのでお返事頂けたらと思います。よろしくお願い致します。
yazawatamio 2012/12/12 04:38
> きんかん さんその通りです。ドラムのパーツごとに別トラックに同時に録れます。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / ADA8000は19,200円(価格は変動します)なので、決して安くはないがMOTU Track16を購入したあとで多数の入出力が必要になったときに、新たに8イン8アウトのオーディオインターフェースを買い足すよりは遥かに安い。
いざという時にこのような拡張性があるのは安心だ。
予算のある人向けにはFireWireまたはUSB 2.0ハブでMOTUのオーディオインターフェース(例えば、MOTU 4Pre)を増設出来る。複数台のMOTU製オーディオインターフェースを同時接続して同期できる仕組みが用意されている。
- 大きさについて
↓ 実は結構デカい。(縦163mm x 横幅127mm x 厚さ25mm)
この事実に結構驚いた。
↑ MacBook Pro 17インチと並べるとこんな感じ
MacBook Pro 17インチは横に長い機種なので写真の比率が正しくないように見えてしまうが別に横に伸ばしたわけではありません。
↑ 本体はオール金属製(アルミ)で頑丈に出来ている。重さはオフィシャルサイトにも載ってないがこちらによると700gとのこと。
この写真はB&Hというアメリカの機材屋さんのレビュー動画からキャプチャしたもの。
質感がよくわかる動画になっている(こちらからどうぞ)。
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