KORG Gadget for iPad は素晴らしかった。初触りの動画とレビュでござい。

https://www.youtube.com/watch?v=1cheXihkYB8

  • 15種類のガジェットと呼ばれるシンセサイザーやドラムマシン
  • それらを統合して音楽としてまとめるための使いやすいシーケンサーや音を整理してミックスするためのミキサー機能
  • AudioCopy、WIST、SoundCloud、Audiobusにも対応
  • 音作りと曲作りを同時に進められる縦方向2画面設計
  • 「将来的なバージョンアップにて、新しいガジェットの追加、オーディオトラック対応など、モバイル音楽制作スタジオとしての完成度をより高めるためのロードマップがあります。KORG Gadgetはモバイルで本気で音楽制作するために進化しつづけます。」とあるのでこれは期待できそう!
  • シンセ好きにはたまらん!また、これからはiPadで音楽アプリ、特にシンセサイザーを始めてみたいひとのファーストチョイスはこれになるだろう

というわけで、KORG Gadgetを遅まきながら導入。
たくさん入っているシンセ(=ガジェットと呼ぶ)の中でもオフィシャルサイトのChiang MaiというGadgetのスクリッティ・ポリッティそのまんまデモ曲(https://soundcloud.com/korg/chiangmai-preview-1-1)にやられてしまい、まずはこれ目当てだった。
VPM(バリアブル・フェーズ・モジュレーション)シンセシスという方式だけど、要はFMシンセサイザーだと思う。
8ビットのゲーム音ほどではなく、でもローファイさがある80年代ぽいデジタルの粗さがある音のようで魅力的だった。

実際に鳴らしてみたらデモ・ソング通りスクリッティ・ポリッティだ...とは行かなかったが(そりゃそうだ、演奏+サウンド=デモだし)それでも失望するほどではなく、いやいや、鳴らしているうちによく聴くとハイクオリティで使える音で安心した。と、期待と不安が入り混じる感じで少し混乱しながら試していった。今になってみれば動画の中で鳴っている通りなかなか素晴らしい音だった。

ドラムの音はユニークなアナログドラム音源のTokyoもあるが、まずはLondonというドラム音源ガジェットが使いやすい。デモから受ける印象通りEDMやダブ・ステップ以降のバシュッという「ジューシーな」スネアなどが多数入っていて完成度が高い。音圧だけでなく音像も立体的で多分即戦力で使える音。

しかし、好みの音はもっと軽くて味のある音。音像的にも、左右に広がる必要も手前に張り付く必要もなく70'sディスコっぽいちょっと控えめな音。そういうのを探したら、好みの音もいくつか見つけることができた。

ドラムの音色を選ぶインターフェースがグリッド式で斬新かつ使いやすい

選んだ音で早速シーケンサーに打ち込んでみたところ、使い易く好印象。

303系のベースシンセを試した後、アナログポリシンセのPhoenixへ。これのプリセットが超ナイスでシビれる。
前述の通り80'Sっぽい音にも弱いので プリセット3番のニューウェーブなパッドサウンドにノックアウトされてしまった。

このPhoenixも打ち込んでみたが音階用のシーケンサーも良い。自分の中では「iOSのタッチパネルではピアノロールは使いにくい」というふうに結論が出ていたが、KORG Gadgetは使いやすい。なぜだろう?と考えてみたが音符打ち込み時の反応の良さや画面の構成、サウンドの良さなどトータルからくる印象なのかもしれない。

一方で鍵盤部分が小さい。特にポリシンセは演奏しにくい。鍵盤などを繋げて使うべきなのだろうか?MIDI鍵盤をつなげようとしたが、最近使ってないのでカメラコネクションキットが見つからず(笑)。次回試すことにした。

iPadを縦方向に使って二画面構成というインターフェースは成功しているが、弱点はこの鍵盤が小さい点になるだろう。説明書を読まずに使えてしまったので確認してないが、もしかしたら鍵盤は大きくできるのかもしれない。

チルウェイヴやアンビエント用のシンセのあと、ベース用のアナログ・シンセDUBLINへ。
DUBLINもツボにハマった。かなり好きな感じ。あくまでソフトシンセではあるけど、アナログな感じに太いし、使いやすいプリセット満載で小さい鍵盤部分でも楽しく遊べてしまった。

後半になると、なんだか感覚が麻痺してきて他のガジェットも、すごいのが当たり前に思えてきてしまった。

少し余裕が出てきて全体を見渡すと、グラフィック、インターフェース共にとにかく細かいところまで作りこまれており、雰囲気抜群。パソコンのDAWプラグインシンセでプリセットや音源を選ぶ際の不全感が解消され、音とグラフィックと操作が一体化してヴァーチャルな実機というような感じで脳が認識しているような不思議な感じ。全てがしっくりくる感覚。名前の通りガジェットとしての楽しさが素晴らしい精度でiPad上で再現されている。これはものすごーく頑張って作ったに違いない!KORGによるいい仕事を見た気分。

KORGiOSシンセアプリの歴史を振り返るとiMS-20がかなり最高で、その後に出たiPolysixは音もシーケンサーもイマイチだった。個人差がかなりあるとは思うが、自分の場合はiPolysixにはどうしても冷めてしまってハマれなかったのだ。

そういった個人的な流れも有り、KORG Gadgetは良いものだと直感していたが値段も高いしかなり躊躇していた。しかしセール期間中(3/31までだったと思う)のうちに決断して導入して良かったと思う。これは本当に良いシンセアプリだ。

iPadの第三世代で試したが、重ねて打ち込んだりしてないせいかリアルタイムでの発音も全く問題が無かった。どんどん重ねて録音していくとおそらく発音が遅れたりしていくのだろう。聞いたところによるとそういう感じらしいので。

iPadは音楽アプリやる程度なら余裕だと思っていたがAudiobusが出てきて複数の音楽アプリが連携して使われはじめた辺りからCPUパワーが不足していった。動作が重いとか、CPUの速度とかそういったことを考えなければならないのはiOSらしくないと思い、それをきっかけに徐々にiOSの音楽アプリへの興味が薄れていった。今回は久々にiOS音楽アプリへと戻ってきた感覚がある。

KORG GadgetはCPUのパワーを要求するので結局は残念なわけだが、Audiobusのような不便さはなく、アプリ内で完結できているぶんまだマシだ。

最悪の場合、音源としてDAWにワンパートずつオーディオで録っていく用途でもいいやと思えば問題ないし、とか思いつつ鳴らしてた。

あくまでiOSの音楽アプリだし、あくまでソフトシンセだし、ということで期待のし過ぎは禁物だし、実用性もまだ疑問だが今夜は本当に素晴らしい体験が出来たように思う。

ライン録りした音とマイクの音を重ねて編集した関係で、動画の途中で音がズレてダブルになっている箇所があります。ごめんなさい。


製品情報
http://www.korg.com/jp/products/software/korg_gadget_for_ipad/


DAWプラグインのようなそそるルックスのシンセ

↑このように上の画面は「曲作り」下画面は「音作り」というふうになっており同時に進めていける

↑各シンセの名前が渋い。ダブステップのウォブル用やTB-303タイプのベースシンセサイザーも入っている


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