進撃の巨人の特殊性
進撃の巨人を1〜8巻まで一気に読んだ感想とアホな分析です。
構造的にはミステリーものである
- ミステリーものであるというのが本質にあって、それを少年漫画のヒーローものに仕立ててある気がする。構造としてはデスノートとも近いのではないか。
- ミステリーものである=予め設定した謎を少しずつ解いてゆく作りである点、密室に近い舞台設定である点。
従来の少年漫画のヒーローとは正反対の視点
- ヒーローが体制側の一員であり、ミステリーものでいう探偵や警察側の視点から描かれている。
- 従来の少年ヒーロー漫画の視点はずば抜けた能力の主人公の活躍へ向けられているが、進撃の巨人の場合は主人公の特殊能力も戦略のひとつであり、視点は組織やリーダーの凄さ、普通の人(=弱者)の葛藤と成長へと向けられている群像劇である。
- 従来の少年ヒーロー漫画だったら主役として正義として描かれるような、ずば抜けた能力を持つ登場人物たちが進撃の巨人では、たいてい性格が悪い問題のあるキャラとして描かれているというあたりが作者の視点の独特な感じを象徴しているかもしれない。
- 従来の少年ヒーロー漫画の主人公っていうのはいろんな意味でとにかく強くて、人として正しいことをやってのけてみせることで正義とか夢の実現とかを体現することで道を示すんだけど、そういったキャラが実際の世界にいたら普通は「迷惑」だ。
そんなことを思わせてしまうのが進撃の巨人の視点の面白さだ。
- 組織や戦いといった世界観のなかで、確かにそう思わせてしまう。つまり、進撃の巨人は中世ファンタジーSF世界のようでいて妙に現実的なのだ。
- 見開きのページでの主要キャラによる決め台詞もやけに現実的であり、一見熱く叫んでいるが、とっても諦めていて冷めている。言い方を変えると、作者の哲学はとてもクール。
作者のメッセージの柱は大きな3つ。
- 世の中は勝ち負け、つまり競争であるという世界観。
- 組織を統率するリーダー論(リーダーに求められる覚悟の話)
- そして最後に弱者への優しい視点が来るのだ(普通の人は弱い!だけどそういう人を切り捨てるな!というメッセージ)。
物語の効能
- 読むとやる気がでます。
感想
最後に、好きなキャラを。
- ハンジ・ゾエやサシャ・ブラウスといった変わり者系がいいですねえ。
- クリスタ・レンズと「女型の巨人」は顔が好き。女型の巨人はセクシーです(笑)。
- 戦っているときのリヴァイはかっこいい!
- 7巻は色んなキャラ、そして組織による戦闘シーンが素晴らしかった。
僕の小規模な生活1〜2巻も読んだけどこちらは次回に...。